少女終末旅行4話の「チーズ」に見るユーとちーちゃんの関係性
少女終末旅行のアニメが現在放映中である。
原作者がEDアニメを全部描いて撮影したり(製作期間1ヶ月ちょいらしい)、WEBで更新された漫画の最新話ではケッテンクラートが壊れてからの桁違いに絶望的になった状況が描かれたりと作品周りで色々話題になっているが、アニメ本編は全体的にとても丁寧に作られているという印象で、原作の時点でファンだった自分も毎週リアルタイムで観るのをとても楽しみにしている。
その中でも、4話のユーがレーションに書かれている「チーズ」の文字を読み上げるシーンが、自分的にとても琴線に触れるものだったので紹介しようと思う。
ちーちゃん(チト)は小さい頃から本が好きで、お爺ちゃんに本の内容や他にも色々なことを教わったように見受けられ、識字能力がそれなりに備わっている。
そんなちーちゃんと対照的に、ユーは教育の機会がほとんど無かったようで、簡単な文字も読み書きすることが困難な描写がしばしば見られる。
(少女終末旅行5巻)
(少女終末旅行1巻)
で、4話のまずは冒頭である。
チト「はい、チーズ」
ユー「チーズって何?」
チト「さあ…そういう合図があるって本で読んだことがある」
ここでチーズの話題が出る。
で、本題の2人でレーションを食べる場面に移る。
ユー「チ、チー…」
ユー「あっ」
ユー「ちーちゃん、今日のそれ、チーズ味だってよ」
チト「チーズねぇ…」
ここでユーは、下記のような思考過程を経て、レーションに書かれた文字をチーズと認識したと考えられる。
- チーズのチーまでは、ちーちゃんのチーなのですぐ読める(恐らく、以前にちーちゃんが教えたことがあるのだと思う)
- ズは読めないけど、昼(4話冒頭)にちーちゃんがチーズと口にしていたのを思い出す
- 冒頭で耳にしたチーズと、レーションに書かれた文字のチーズが結びつく
アニメでは十数秒の短い場面だが、かなり情報量が詰め込まれているように思う。
ちなみにこの場面は、原作では、サラッと書かれている。
(少女終末旅行2巻)
なので、アニメオリジナルの改変なのだが、2人の関係性を補完するめちゃくちゃ丁寧ですごくいい描写だなあと感じた。
なにより、基本物事を忘れやすいユーが、ちーちゃんのチーの文字は覚えているというのが、めっちゃ尊くありません???
ユーは頭を使うことが苦手で、栄養が全部身体の方に行ってるんじゃないかという感じではあるのだけど、ちーちゃんにまつわる大事なことはちゃんと覚えているように見受けられる。
例えば、原作の最新話では、ちーちゃんの大切な本を燃やしてしまったという罪悪感からか、本の題である「河童」をしっかり覚えている。
(少女終末旅行40話)
ユーはちーちゃんの前ではおちゃらけているけど、こういう描写でユーがちーちゃんのことをなんだかんだ強く想っていることが分かる。
そして、アニメスタッフがこういう細かい点を丁寧にすくい上げてアニメを製作してくれていると分かり、原作ファンとしてはとても嬉しい。
アニメは原作のどこまで放映するのだろうとか、原作はアニメと同時に終わるんだろうか?とか色々気になる点はあるものの、今後も引き続き楽しみにして観たい。